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集客人数が1.8~2.0倍

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ohanami_logo開湯1300年の歴史を誇り、俳聖 松尾芭蕉が、有馬・草津と並んで三名泉の一つとたたえた山中温泉。この地で、「楽しい時間を提供する宿」を標榜し、時代に合わせてその姿や名前を変えつつも、百年を優に超える歴史を刻んできた旅館『お花見久兵衛』。20代でありながら経営全般の舵取りを担う専務の吉本龍平さんにお話を伺った。

お花見気分の楽しい時間をお客様に ある日届いた伝説のメール

自分たちで考えた商品を自分たちの力で売っていく

改革なしに明日はない

 

お花見気分の楽しい時間をお客様に

― よろしくお願いいたします。まずはお花見久兵衛さんについて、簡単に紹介していただけますか。

10わかりました。当社の歴史は、1868年(明治元年)に私の母方の先祖に当たる吉本久兵衛が『吉本屋』という旅館を立ち上げたことに始まります。その後、場所を移転したり増改築を繰り返す中で、館名についても1958年に『山水閣』、2002年には創業者の名を冠した現在の『お花見久兵衛』へと、時代に合わせて移り変わっていきました。

当館は、年間約50万人が訪れる山中温泉の旅館群の中では、中規模と言って良いかと思います。露天風呂を備えた温泉スイートルームの『六庄庵(ろくしょうあん)』、スタンダードクラスの『花庄庵(かしょうあん)』、お値打ちな『かえで庵』という3タイプ、全49室を約50人の従業員で運営しています。この人数はフルタイム、もしくはそれに近いシフトで勤務しているメンバーの数であり、外注しているお部屋の清掃、洗い場の業務を担当してくれている短時間パートの方々については、その中に含めていません。

― 貴館の特長やアピールポイントについてお聞かせ下さい。

そうですね。温泉旅館といえば「お風呂」「お部屋」「お料理」が基本要素ということになるのでしょうが、私どもの場合、単体の機能でどうこうというよりは、トータルとして「お花見気分の楽しい時間をお客様に提供したい」・・・そんな想いとコンセプトで運営しています。

02例えば、入り口を通って館内に足を一歩踏み入れると、自動ドアと連動して舞い散る桜吹雪でお客様をお迎えする。チェックインの後は、焼きたてのお団子と桜湯でくつろいでいただく。夜は、既製品ばかりを用いた効率重視の会席料理ではなく、手間暇を惜しまない創作料理をご提供する。また「朝寝坊システム」と称して、お客様のご希望に応じて、朝食やチェックアウトの時間を遅らせる。ハイグレードの「六庄庵」では、お風呂に入っていないときでも室内に設けられた足湯で温泉を満喫していただく等々。ハードとソフトの両面から、お客様が「あ〜楽しい時間だったね」とご満足いただけるよう、我々なりに知恵をしぼったおもてなしを心掛けています。

― 吉本専務は、いつからどのような形で旅館経営に携わるようになったのですか。

父からも母からも、旅館を継ぐように強要されたことは一度もありませんでした。かえってそれが良かったのでしょう。「自分もいずれ経営に参画して、より良い旅館にしていこう」という気持ちが、自然に芽生えていったように思います。いずれは旅館を継ぐのだから、それまでは全く関係のない分野を経験したいと考え、東京の大学を卒業後、人材派遣の会社に勤務しました。私としては最低5年は、お世話になるつもりだったのですが、「旅館がピンチだから帰ってきて欲しい」という、社長兼女将である母からの求めに応じる形で、結果的にわずか1年半で退職して、旅館に戻ることになりました。2004年秋のことです。

03― それは大変でしたね。

その頃、良き時代は遠い過去のものとなり、旅館業を取り巻く環境は極めて厳しい時代に入っていました。市場まかせで歩んできた当社も例外ではありませんでした。経営再建に必要な資金を金融機関から融資いただく際に、経費削減などの経営改革に取り組むことと合わせて、後継者である息子を社内に迎えることで、オーナー家として責任ある姿勢を示す必要があったのでしょう。

縁あって入社した会社を、わずか1年そこそこで辞めざるを得ないことは残念ではありましたが、私自身はそのことを前向きに捉えていました。頼られたことを意気に感じたというのもありますし、私自身が何もチャレンジしないまま、自分が育ったところがなくなってしまっていたらきっと後悔したでしょうから。精一杯やってダメだったらあきらめもつくし、そうなればまた一から出直せばよい。そんな気持ちだったと思います。超楽観的な人間なんですよ(笑)。

― 吉本専務を含めた経営陣の方々の役割分担はどのようになっているのでしょうか。

現在は、お客様への接遇をはじめとした現場オペレーションの部分は社長兼女将の母、主に旅行代理店さんを通じて団体のお客様を獲得するための営業活動は会長である父、ネットによるマーケティング活動、及び合理化による収益改善等、経営管理業務全般が専務である私の担当領域ということになります。プランや企画、お料理など、それぞれの担当分野がクロスするテーマについては、相談しながら決めています。

 

ある日届いた伝説のメール


― 集客塾の存在を知り、セミナーに参加されたきっかけは、やはり例のメールですか。


そうです。我々の間では伝説にもなっている、集客塾から届いたあのメールが全ての始まりでした。4年ほど前のことでした。「何だろう、これ?」と思って読み始めたら、ぐいぐい引き込まれていって・・・かなりの長文だったと思うのですが、気づくと一気に読み終えて、数分後にはセミナーへの参加を申し込んでいました。

11もちろん盲目的な自分だけでなく、一方で「そんな旨い話があるだろうか」「本当に5万円も払うほどの内容なのだろうか」と疑念を抱いている自分もいたんですよ。でも、「セミナーの内容に価値を感じられなければ返金する」「1つの観光地から、先着の1社しか参加を受け付けない」など、受講に伴うリスクを最小化し、受講しない機会損失リスクを最大化するような文言がちりばめられていて、どう考えてもこれを退ける理由が見あたらないんです。思い返してみれば、まさに柳澤マジックですね(笑)。

― 実際に参加してみて、どのような感想を持たれましたか。

「目から鱗が落ちる」というのはこういうことかと・・・。一番驚いたのは、集客力を高めるために顧客心理をここまで考え抜くのかという点です。柳澤さんのセミナーは実務的な内容であることはもちろんですが、論理的というかアカデミックでもあるんです。ジャンル的には産業心理学とか購買心理学に位置づけられると思うのですが・・・大学で受けた心理学の講義と同じ内容が次々に出てきます。恥ずかしながら、「大学で習ったことというのは、ビジネスでちゃんと役立つんだ」と実感できたのはそのときが初めてでした。

そうしたセミナーで語られる内容に感銘を受けたのも事実ですが、私にとっての一番の収穫は、柳澤さんという方の存在を知り、出会うことができたということだと思います。

05― もう少し詳しくお聞かせ下さい。

旅館に戻った当初、ネットによる集客活動が私のメインの担当分野でした。それなりに成果は出ていましたが、経営状態が劇的に好転するほどではなかった。私が不満や危機感を抱いたのは、社内で会議をしていても、また同業者が集まる会合などでも、「(自分たちのやり方が悪いのではなく)旅館業というのは儲からないビジネスだ」と決めつけたり諦めてしまったような話が多いことでした。

事業として営む以上、それではいけないと私は思っていましたし、そういう発言や考え方に反発もしてきました。でも未熟な私は、「どのようにしたら業績を向上させ、自分の考えが正しいことを証明できるのか」がわからなかった。実現できなければ、私の言っていることは単なる絵空事で、説得力を持ち得ません。

そんなときに、目の前に現れたのが柳澤さんでした。規模的にお花見久兵衛と似通った旅館が、世代的にも私に近い経営者の手腕によって、今にも潰れそうな危機的状況から立ち直るどころか、素晴らしい業績を挙げていらっしゃる。今の自分は力不足だけれど、お花見久兵衛だって、私の努力次第で親湯さんのような成果を挙げられるかもしれない。そんな風に、私に希望を与え動機づけてくれたのが柳澤さんの出現だったのです。

 

自分たちで考えた商品を自分たちの力で売っていく


― その後、集客塾の電話コンサルティングも受けられるようになったわけですね。

はい。セミナーというのは参加者も多いですし、形式からいってやはり一方通行にならざるを得ない。そんな制約がある中でも、教えていただいたことを実践してみたら様々な成果が得られた。一対一で指導していただいたら、きっとより大きな果実を手にすることができるに違いない。単純にそう考えました。

12― コンサルティングサービスの利用の仕方も人それぞれだと思うのですが。

そうですね。柳澤さんも相手に応じて、その方に最適なやり方でご指導いただいているのだと思います。私の場合は、何らかの課題をいただいて、それを現場で試行錯誤したり実践してみて、その結果を次の相談時に報告し、その上で「より良く改善するために何が必要か」について、ディスカッションしたり、アドバイスをいただくといった進め方が多いですね。あと、私があまり知らない分野や実験が難しいもの、例えば、経費削減や人材育成、改装のための投資といったテーマについては、柳澤さんの方で有益な情報や考え方についてレクチャーしていただいています。

― どのようなアドバイスを受けられたのか。支障のない範囲で紹介していただけますか。

例えば、ネットで集客する際のプラン設計の考え方ですね。当時のお花見久兵衛では、ただ思いつくままに色々なプランを並べていたのですが、それらがバランスを欠いていて、マーケットやお客様を意識したものになっていませんでした。

例えば、松・竹・梅と3つの企画を考えるとします。上のプランに行くに連れ、「こういったサービスを付加しよう」などと考え、コストの積み上げによって値付けすると、「梅8千円、竹1万円、松3万円」みたいなことになるわけです。プラン間の価格ギャップが大きすぎるというのも問題ですし、お客様は「山中温泉の中で、露天風呂がお部屋に付いたプランを探そう」といった意図を持って旅館比較をされるのに、競合のことを全く考えていない独りよがりなプラン設定になっていました。

07順序が逆だったんですね。プラン毎にマーケットの中で魅力のある価格を先に設定した上で、その中でどれだけの付加価値を提供できるか知恵を絞って商品設計をしていくこと。そういった考え方や具体的な手法について柳澤さんから教わりました。

― 数字的にはどれくらいの成果が出たのですか。

指導に基づいて再設計したプランを投入した途端、集客人数が1.8〜2.0倍に跳ね上がりました。それまでだって、自分たちよりはるかに大きな旅館が多数ある山中温泉の中で、ネットを通じた集客に限ればおそらく5本の指に入るだけの実績をあげていたんですよ。「これまでもそれなりのことはできていたはずだ」という自負、「プランの見直しだけで数字が上がるものだろうか」という疑問は一気に吹き飛びました。

セミナーや電話コンサルティングで教わった内容を元に、改革を進めてきた結果、現在は、旅行代理店を経由した売上比率は30%にしか過ぎません。当館では自前のサイトでも、『じゃらんネット』や『楽天トラベル』など他の宿泊予約サイトでも、基本的には同じプランを掲げているのですが、これらを合わせたネットによる受注比率が約70%を占めています。

おそらく山中温泉における一般的な水準は我々とは正反対、つまり「エージェント経由:ネット経由=7:3」くらいだと思います。両者の違いは、単なる販路の違いというだけでなく、商品の設計・開発を他人(他社)に委ねているか、自分たちで考えているかという違いでもあります。自分たちで考えた商品を自分たちの力で売っていく・・・その割合を高めていくことが、経営の自立にもつながると確信しています。

 

柳澤の視点

j4 吉本さんは集客塾の参加者の中で一番若いですね。私よりも10歳も若い。
その年頃なら我が強く人の話を受け入れられないのが普通です。
しかし、吉本さんは素直にまず実践します。
そして自分で責任をもって失敗も受け入れています。

20代にして、”全てに通用する確実な方法など存在しない”ということを知っているのです。
私の20代の頃に教えてもらいたいくらいです(笑)

5 吉本さんはマーケティングだけでなく
費用管理にも注力し 貪欲に集客塾のノウハウを吸収していっています。
ほとんどの型がマーケティングだけに注力しているのに対し 吉本さんは費用管理のノウハウを注力して実践しています。

マーケティングを自信を持って行うためには
限界利益を知らなくてはなりません。
限界利益は変動費の理解なくてはなりません。
そして、変動費を下げる努力と単価を上げる努力と合わせると 儲けに与えるインパクトは絶大なものになる。 これを実践しているのです。

吉本さんへのアドバイスは、もう少しお金をいっぱい使って
食べ歩いたり外の世界をもっと見てもらいたいということだけです。


今以上に儲けることができるでしょう。

改革なしに明日はない


― 柳澤のセミナーやコンサルティングについて何かネガティブなご意見があれば、それについても是非お聞かせ下さい。


そうですね。確かに、柳澤さんから企画のアイデアをいただいて、それを実践してみて百発百中、大当たりするかと言えば、そんなことはありません。でも「(改善すべき材料が得られるのだから)失敗なんかありえないよ」「テストがちゃんとできれば、僕のコンサルティングなんか要らないよ」と柳澤さんは言います。

つまり一番大事なのは、そのテストから得られたデータを、サービスやプランをより良いモノに改善していくために正しく生かせるかどうかということです。そのために、柳澤さん自身の経験と理論に裏付けられた、問題解決の手法や考え方を学び活用できること。これこそが私にとって、集客塾のセミナーに参加したり電話コンサルティングを受ける最大の価値です。あくまで私見ですが・・・自ら考え試行錯誤することをおろそかにして、「プランから経営改善策の一つひとつに至るまで提示してもらわないと気が済まない」という依存心の強い人には、集客塾のコンサルティングは向かないかも知れませんね。

08私自身についてはマイナス面をと問われても、なかなか思いつかないのですが・・・私は元来包み隠さず本音を言う性格で、跳ねっ返りというか変人ぽく見られることがあります。特に最近は、オブラートに包んで話していると問題の焦点がぼやけてしまうので、話を分かりやすくする意味でも、意図的に物事を単純化して極端な話し方をするようにしている面があります。これは柳澤さんの影響も多分にあるでしょう。おかげでその変人ぶりに余計拍車が掛かったと、家族や周囲の人々に思われているに違いありません(笑)。私的には成功なのですが、彼らからすると、「困ったものだ」と・・・敢えて申し上げるなら、そういうことぐらいでしょうか。

― 今後の目標について教えて下さい。

現在のお花見久兵衛は、未だ「どうにか危機を脱した」というレベルに過ぎないと私自身は考えています。まずは今後2年くらいかけて、なんとか安定軌道に乗せていかなくてはなりません。そのためには企画の当たり外れに一喜一憂するのではなく、コストなり損益分岐点を下げていくことが不可欠です。

そうするとこれまで手つかずだった人件費の問題にどうしても切り込まざるを得ない。といっても、「会社が苦しいから20万円のお給料を18万円に下げさせて下さい」というのでは、改革でも何でもありません。人材配置の見直しや多能工化等によって効率化することで、サービス品質や1人当たりの給料を向上させながら、トータルのコスト・人件費を抑制していく。簡単なことではありませんが、柳澤さんにもアドバイスをいただきつつこの改革を進めて行くつもりです。

― そういえば、昨晩もお部屋の案内をして下さった仲居さんが、夕食をいただくレストランでも我々の給仕をしてくれました。担当業務の幅を広げたり、コスト感覚を養ったりと、従業員の方々の協力が不可欠ですね。

09その通りです。私が経営に参画する前からトップダウンでやってきた組織ですし、際限なく時間をかけられる状況ではないので、今はイエスマンとして改革に付いてきてくれることが最優先です。いつかは従業員の皆の自発的な動きによってサービスの改善が自然に行われる状態を目指すときがくるでしょうが。

「お客様のため」「従業員のため」と耳障りの良い言葉で改革を先延ばしし、手遅れになってから「ごめんなさい、潰れちゃいました。辞めてください」というのではダメなんです。私の仕事は、従業員に好かれることではなくて、たとえ需要が減る厳しい環境下にあってもこの旅館を守ること。それが、ここに来てくださるお客様のため、ここで働く皆のため、そして私自身のためでもあります。柳澤さんの力をお借りしながら、これからも改革を実行していくつもりです。

― 本日はありがとうございました。

 

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