
飛騨高山の旅館清龍。「築40年、設備は古いまま、露天風呂はない…でも、お客様がここに来て楽しかったと感じていただける、『愛される旅館』でありつづけたい」と語る代表取締役の村井繁喜さん(写真左)と、営業部長の山口弘司さん(写真右)に、くわしいお話しをお聞きしました。
― それではよろしくお願いします。村井さん、旅館清龍について教えてください。
こんにちは。代表の村井と申します。旅館清龍は、飛騨高山にある、和室25室、従業員27名の旅館です。
この旅館は、27年前に僕の父が購入しました。建物は今年で築40年になります。
高山駅から徒歩7分、古い街並みのなかにあって観光地にも近いのですが、旅館そのものは設備が古く、いわゆる「スペック」を重視されるお客様にはあわないかもしれません。うちには露天風呂もありませんから。そのぶん、いらしたお客様に「ここに泊って、いい人に出会えたな。いい旅だったな」と感じていただける「愛される旅館」であるように、心をこめてみなさまをお迎えさせていただいております。

― 今回、柳澤さんのコンサルティングを受けて、どんな効果がありましたか。
柳澤さんの電話コンサルティングを受けて、『じゃらんネット』からの問い合わせが前年対比400%にアップしました。飛騨高山は冬があまりにも寒く、とくに雪深い12月〜3月は毎年閑散としてしまいます。ところが、柳澤さんにご指導いただいた通りに、プランの整理や料金設定の見直しなどを行ったところ、その 12月〜3月でも客室稼働率は前年を下回ることがなく、最大で750%になりました。忙しい8月は、前年対比900%にまでなった週もあります。
| 『じゃらんネット』からの問い合わせ 前年対比400% | ||
| 週間客室稼働率 前年対比最大900% | ||
| 週間客室稼働率 前年対比 | ※12月〜3月(OFF期) | 144%〜750% |
| ※8月(繁忙期) | 300%〜900% | |
開館以来、大規模な改装などの設備投資はまったくしていません。
もちろん、ただ集客するだけでなく、お迎えしたお客様によい思い出をお持ち帰りいただけるよう、お料理やサービス、清掃、接客などに最大の力を入れています。
これからも、お気づきのご意見にはしっかりと耳を傾け、よい旅館を目指していきます。
柳澤さんには、これからもずっとお世話になりたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
― コンサルティングを受けて、どのような見直しを行ったのですか? くわしく教えてください。
柳澤さんの電話コンサルティングを直接受けて、実際に企画を考えたり、作業をおこなったりしたのは、営業部長の山口です。彼は、長年勤めていた旅館を辞めて、2007年に旅館清龍へやってきた人間です。僕は彼を入社初日にむりやり東京へ連れて行き、柳澤さんのセミナーを受けさせました。
まずはそのセミナーでの出来事について、山口からお聞きください。
― それでは山口さん、まずはセミナーを受講してみたご感想をお聞かせ下さい。
はじめまして。営業部長の山口弘司と申します。17年間営業マンとして働いた前の旅館を辞めて、村井のもとで旅館清龍のマーケティングを担当しています。
入社初日に受講した柳澤さんのセミナーでは、本当に衝撃を受けました。柳澤さんのおっしゃることをなかなか飲み込むことができず、「なんてところに連れてこられたんだ…」とショックを受けて、セミナーのあと一週間ほどは頭がぐらぐらしてしまいました。
― なにを聞いてそんなに頭がぐらぐらしてしまったのですか。

「それまで17年間、ずっと信じてきた旅館業界の営業方法が、まちがいだった」ということを聞かされたのです。
私がやってきた旅館営業は、「自分の施設をとにかくたくさんの旅行会社さんに覚えていただくこと」。これがすべてでした。そのために旅行会社にあわせた企画プランをつくったり、足しげく代理店さんに通って、担当者と仲良くなり、掲載枠を大きくしてもらう、ということにこだわってきました。年間150日は出張していましたね。おかげで嫁はカンカンでしたよ(笑) でも、その甲斐あって、電話一本で融通をきかせてもらえるようなネットワークを自分で築いていました。
ところが、柳澤さんのセミナーでは、開口一番「そんなものは必要ありません」からはじまったんです。「はい?」と思いましたね。
柳澤さんのおっしゃったことは、大手の代理店さんにしがみつくのはもうやめて、「自立できる宿になること。自分の宿は自分で守ること」でした。最初はなかなか受け入れがたかったです。
そうそう。昔は、代理店さんからたくさんお客様をいただいたものでした。ところが、大手の旅館との格差ができてしまったんです。力のある旅館はどんどん投資して施設を大きくしていく。そうすると、代理店もそういった旅館を大きく取り扱うようになる。われわれのような古くて小さな旅館は販売網からはずれていく…。
代理店は決まって「露天風呂をつくるといいですよ」「岩盤浴がいいですよ」「カラオケルームがあるとグループ旅行が入りやすいですよ」と設備投資の話をします。
でも、僕は、それは無意味じゃないかなあとなんとなく思っていたんです。うちは、簡単な改装は何度か行ったことはありますが、大きな設備投資はやったことがありません。
― 村井さんは、どうして「設備投資は無意味」と思われたのですか。
みなさん設備を良くして単価を上げればよいと考えられるようですが、単価なんて簡単には上げられないんですよ。その旅館によっぽどの希少価値があれば、それも認められると思います。でも、露天風呂や岩盤浴をつけたところで、ほかの旅館との変わりはないでしょう? それこそ金太郎飴みたいなもんですよ。
ことに水回りの建設はお金がかかりますから。借金を抱えてまでそんなものに投資したところで、経営者の思惑通りにいくわけがないと思っていたんです。
柳澤さんのセミナーでは、設備投資ではなく「現状の良さをどう生かして、ほかの旅館との差別化をはかり、それをうまくお客様に伝えるか」ということを教わりました。そのためには、代理店さんにしがみつくのではなく、自立する。
もちろんいまも代理店さんとのおつきあいはありますよ。でも、そこに頼るパーセンテージはグッと下がりました。おかげで今は、年間の出張日数も30日程度に減りまして、家庭も円満です(笑)
― それでは、コンサルティングを受けて具体的にはどのような見直しを行ったのか教えてください。
こちらはわたくし山口がお答えします。
まずは旅館清龍の現状把握をすることからはじめて、プランの整理や、『じゃらんネット』でどのようにアピールするかなどを指導していただきました。
●現状把握
柳澤さんから、まずはホームページのデータを取ることからはじめなさいと指導されました。2000年からホームページがあったのですが、成約率はおろかアクセス解析すら取っていませんでした。
●人気プランのあぶり出し、絞り込み
次に、「プランが一番大切ですよ。もっとポイントをしぼって整理してください」というアドバイスを受け、すべてのプランを見直し、不要なものをなくして整理しました。
以前の旅館清龍は、プランが多すぎたのです。しかも、それぞれのプランにどのぐらいの需要があるのかも把握できておらず、まったくの行き当たりばったり。むやみに「期間限定プラン」「WEB限定プラン」など商品を増産していただけでした。
どのプランにどのぐらいの人気があるのかを把握して、年間を通して売りやすいプランだけに絞りました。
柳澤の視点
補足します。
まずは、旅館清龍の「売り」はなんなのかを知り、その売りをいかにアピールすればよいのか、という視点からアドバイスをさせていただきました。
旅館清龍の場合は、あまりにもプランが多すぎて、焦点がぼやけていました。料金設定にも問題がありました。部屋の広さがいろいろあるのに、それぞれの部屋にあまりにもたくさんのサービスをつけすぎて、部屋ごとの宿泊料金に明確な差が設けられていなかったのです。
「6畳の部屋には飛騨牛食べ放題。12畳の部屋には飛騨牛コース料理……値段は同じだけど、一体ちがいはなんなの?」
お客様が迷ってしまうのは、旅館側の打ち出すプランが絞り切れていないのが原因なのです。
お客様の視点に立って、『この宿の、このプランが魅力できだ。だから利用しよう』と選択しやすいプラン設定を作ることが重要なのです。
旅館清龍の場合は、「料理(飛騨牛)」と「近隣の同系列ホテルのスパ利用が無料」、このふたつが他にない大きなポイントでした。このポイントをいかに目立たせ、誘導するかということをアドバイスさせていただきました。
●プラン名、キャッチコピーの見直し
プランを絞ったあと、プラン名とキャッチコピーの改善も指導していただきました。
『じゃらんネット』に掲載されたとき、最初に目に入るのはプラン名です。お客様の目線から、魅力的で、わかりやすく、選びやすい言葉とはなんなのかということを考えました。
柳澤の視点
キャッチコピーはとても大切です。
他の旅館とのちがいを明確にすること、お得であることが見てすぐにわかること。ところが、プランというものは「説明しすぎないこと」も重要なポイントです。あまりにもわかりすぎては、魅力がなくなってしまうのです。恋愛でも同じでしょう? このバランスが大切です。
また、あくまでお客様の視点に立ってキャッチコピーを作ることを中心にアドバイスさせていただきました。たとえば、「白川郷近し、飛騨高山観光名所ぐるり旅」…このキャッチコピーはアリでしょうか。答えはNO。
飛騨高山を観光する目的で宿を探しているのです。観光名所が近いことは当たり前。そんなわかりきったことは説明してほしくありません。その地域に数ある旅館のなかで、より魅力的な旅館はどこなのか、自分の予算や理想にあったプランはどれなのか、という視点でキャッチコピーをつくることが重要なのです。
じゃらんネットは多くの旅館やホテルが同じ土俵で勝負をする場所なので、プランのテストをするには最適な市場です。いきなりホームページではお金が出てしまうのでじゃらんネットでのテストを推奨しています。
●新プランで市場拡大 「赤ちゃん向け、妊婦さん向け」
柳澤さんからのススメで、蓼科温泉ホテル親湯さんのプランを参考に、赤ちゃん向けのプランを新しく作りました。
離乳食やベビーグッズの貸出のほか、おむつや粉ミルクの使い放題など、赤ちゃん連れのお客様にとって「うれしい」と思っていただけることを考えられる挙げて、13特典のサービスをつけました。
妊婦さん向けのプランも、これからもっと広げていきたいと思っています。特に、妊婦さんには時期がありませんよね。デリケートなおからだで、どの季節にいらしても快適に安心してお過ごしいただけるようなプランを設定しています。
●ターゲット層を若く
ターゲット層を変化させました。以前はオールマイティでしたが、意識して20代〜30代の方に来ていただくようにプランを設定しています。ホームページ上の「お客様の声」も、若い方のみ掲載させていただいております。
旅館清龍は、「旅館初心者」の方のための旅館です。設備も古く、露天風呂もない。そのぶん料理とサービスに力を入れて、料金設定をお安くしておりますが、いろんな旅館をまわってこられた年配の方には物足りなく感じられるかもしれません。
ですから、より若い方に「この旅館にいた人、楽しかったな」「また来たい。旅行っていいな」と思っていただけるような、思い出の場所をご提供したいのです。ところが、客層が若くなったとたん、自然と年配のお客様も増えました。
― どうして客層を若くしぼると、年配のお客様も増えたのだと思いますか。
年配の方が集まる場所には、若い方はよりつかない傾向があります。でも、若い方がいる場所には、なにか楽しいことがあるんじゃないかという気がして、年配の方が興味を持つのです。実際に、宿泊された年配のご夫婦から「若い子がたくさんいるところは活気があっていいね」というお声を頂戴したことがあります。

― コンサルティングを受けてみて、苦労された点、難しかった点はありましたか。
苦労や難しさというよりも、柳澤さんのセミナーで学ぶ内容は、経営者ひとりが理解していたのでは意味がないと気づきました。
柳澤さんは、それまで僕たち旅館業界の人間が長年信じきっていた旅館業界の常識とは、180度ちがうやり方を教えてくださいます。あまりに考え方が変わるので、僕ひとりが突然あれこれを部下に指示を出してやらせても、混乱するだけだと思いました。
そこで、はじめてセミナーを受けたあと、僕以外のスタッフにも柳澤さんの本質をしっかりとわかってもらおうと、フロントスタッフ5人全員を東京へ連れていき、もう一度セミナーを受けました。その後、入社した山口にもそうしました。
― とても熱心にセミナーに取り組まれたのですね。
旅館は僕ひとりで運営しているのではありませんから。旅館清龍を変えていくなら、フロントも調理場も接客係も、みんなが本質を理解して、団結して取り組まなければなりません。
フロントスタッフは、みんな真剣にセミナーを聞いてくれて、柳澤さんの考え方を理解してくれました。そのフロントスタッフにひっぱられて、接客、清掃、そして調理場の様子も大きく変化していきました。
― 調理場についてすこしお聞きします。旅館清龍の売りのひとつは、飛騨牛のお食事ですね。

そうです。いま、旅館清龍の台所は、僕が連れてきた30代の若い料理長に任せています。腕は間違いありません。でも、飛騨牛だからどう、ということだけにはあまりこだわっていません。僕は料理長に話したんです。
「おれは料理はできないよ。でも、あなたはお客様にプランを販売することができない。お互いに古い考え方に固執せず、新しいものを作り出して、旅館清龍をもっとよくしていこう」
僕は、いくら腕が確かでも、昔ながらの頑固一徹な料理人では、これからの時代をきりぬけていくことは難しくなっていくと思っています。旅館清龍の飛騨牛料理は「おいしくて当たり前」。その先の工夫を、調理場も旅館全体も一体となってつくりだしていきたいのです。
大切なのは、「いいことがあるのを待つ」ことではなく、自分から「需要をつくる」こと。それが、柳澤さんから学んだ最大の心意気です。
― コンサルティングを受けてみての柳澤への評価をお願いします。
本気で自分の旅館を変えたいと思い、一生懸命やっている人には、これ以上ないぐらい親切にしてくださる方です。確実に結果を出してくださいますし、「こんな人はほかにいない!」そう思います。
柳澤さんは、常に最先端を歩んでおられます。いろんな情報をご自分で実際にやってみて、本当に良かったことだけを僕たちに教えてくださる。それがなければ、むやみに「SEOをやろう」「広告を出そう」と右往左往させられていたことと思います。山道を、路頭に迷わずにつきすすめる、それが集客塾だと思います。
― 山口さんは、いかがですか。
柳澤さんには、本当にわかりやすくいろいろなことを噛み砕いて教えていただいています。(いつも怖いですが(笑))正直、私はWEBをさわりはじめたのは、柳澤さんと出会ってからでした。最初は「セッション」「ページビュー」など知らない専門用語だらけで、ちんぷんかんぷんだったんです。そこを柳澤さんが、私の素人レベルにまで視点を落として、ひとつずつわかりやすく解説してくださいました。本当に感謝しています。
柳澤さんは、旅館清龍にいらしたことはありません。電話だけで、本当に実績を出してしまうところがすごいと思います。
柳澤さんは、「売る」ということが本当に好きなんでしょうね。DNAに「売る」という能力が組み込まれている人だと思いますよ。そのぐらいパワフルで、学ぶ自分たちもどんどん一生懸命になっていきます。ご自分の利益云々ではなく「あなたの旅館が売れるとうれしい」という気持ちが伝わってきますね。
― 旅館清龍の今後の課題はなんですか。

こんなこと言うのはなんですけど、僕は商才がないんですよ(笑) 「儲けてやるぞ!」っていう人間じゃないんです。僕の役割は、親父から受け継いだこの旅館清龍を、うまく整備して、次の世代へバトンタッチすることです。
そのためには、ずっと愛される、いい旅館にしていきたい。一人でも多くの方にうちの旅館を好きになっていただくことが今後の課題だと思いますし、お客様以上に、スタッフたちがいつも笑顔を絶やさず「ここで働くのが楽しい」と思ってくれるような旅館にしていくこと。そこしかないと思っています。
― それでは最後に、これからの抱負をお聞かせ下さい。

柳澤さんから与えられているだけではなく、これからは自分たちでも新しいものを発見していかなければなりません。打つ手があるということは、伸びる要素があるということですから。
お客様はもちろんのこと、なによりもスタッフたちに感謝できる。それが旅館清龍の一番の幸せですね。
柳澤さんには、最後までお世話になりますよ。
いまの売りかたも、5年後、10年後にはまた変化していると思います。その変化をこれからも学びながらやっていきたいと思っています。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
旅館清龍さま、本日は貴重なお話しをありがとうございました。

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